日産のスポーツカーは、「技術の日産」と自負するほど、モータースポーツに深く関わってきた。
自動車メーカーにとって、スポーツカーは各社の技術の粋を集めた技術の結晶でもある。
「R」のエンブレムを持った、日産歴代の6車種について振り返ってみた。
この記事の構成
日産のRのエンブレムの意味
自分の車の車種名に「R」の1文字があったら、ワクワクしませんか?
「R」と付いただけで、おんなじ車種でも、特別なイメージがありますよね?
如何にも早そう!
如何にもスパルタン!
如何にも最強モデルに乗る優越感!
私だって、お財布に余裕があれば、一度は乗ってみたい「R」エンブレムの付いたスポーツカー。
憧れちゃいます。
日産の場合、GT-Rの名称を持つスカイラインは特に別格です。
日産は、GT-Rについて、次のように表明しています。
“GTはGrand Touringの略、高速で遠乗りを楽しむの意。
Rはレースの頭文字と、レースで名声をはせたプロトタイプ・スポーツカー「R380」のRに由来。”
つまり、スカイラインGT-Rにおいての「R」は、レースのRなんですね。
日産「R」のエンブレムを持つ歴代6車種の話なので、GT-Rを除く他の5車種については、これから説明をしていきますが、ラリー参戦を目的に作られているので、「R」はラリーのRなんです。
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Rのエンブレムを持つ日産スポーツカー歴代6車
スカイラインGT-R
出典:vital.sakura.ne.jp/NISSAN%20SKYLINE%20KGC10%20HP/kaihatu.html
日産のスポーツカーで「R」のエンブレムといえば「GT-R」と言われるほどの存在感の大きい、スカイランGT-R。
プリンスが日産と合併した後、1969年に発売された「日産スカイライン」C10系で初めて設定された「スカイラインGT-R」
このスカイラインGT-Rに搭載されたエンジンは、レーシングエンジンGR8のデチューン版と言われる「S20」エンジン。
S20は、今では軽自動車でも当たり前のですが、当時は高性能車しか採用されていなかった「DOHC4バルブエンジン」でした。
このスカイランGT-Rは、はじめからレース出場を念頭に開発された車で、非常に高価であったため、レース参戦を目指したユーザー以外にも、高級GTカートして購入するユーザーも多かった車です。
スカイラインGT-Rは、日産の狙い通りに、「国産スポーツカー最強」伝説を生むほどの強さを発揮しました。
次世代のC110系スカイラインは、ゴクショウリョウのみの生産にとどまり、レース出場もなく、しばらくはサーキットから遠のいていました。
その後、グループA出場を目論んだ、R31スカイラインにGTS-Rが登場し、ついに本命とも言えるR32スカイラインGT-Rが登場しました。
R32スカイラインGT-Rに搭載されたエンジンが、名機と言われる「RB26DETT」で、総排気量は2.6L、バルブ数は24バルブで、二基のターボチャージャーで過給される(ツインターボ)でした。
そんな、スカイラインGT-R伝説も、オイルショックの煽りを受けて、2002年に生産終了となりました。
ブルーバードSSS-R
1980年台に国内ラリーは改造規制が厳しく、ほとんど無改造での出場を余儀なくされていましたが、1987年に規制が緩和されるときにデビューしたのが、「ブルーバードSSS-R」
このブルーバードSSS-Rは、「競技ベース車」としてデビューしました。
1.8リッターDOHCターボのCA18DETに英コスワース製の鍛造アルミピストンを組み込むなどメーカーチューンドが施されたCA18DET-Rを搭載してクロスミッションと組み合わせ、ロールバーを最初から組み込んで4ドアセダンながら当初は2名乗車仕様のみという、かなりスパルタンな設定。
このブルーバードSSS-Rは、「工場出荷状態で競技車両となっており、ディーラーからラリー会場に直行できる」とまで、言われました。
その後、ラリー向けに低中速重視仕様のSR20DETに換装されると、全日本ラリーCクラスで覇権争いをするまでになりました。
当時のライバルは、ギャランVR-4やファミリアGT-X、セリカGT-FOURたちです。
しかし、ブルーバードはU13以降、モータースポーツへの参戦も無くなり、ファミリーカーへと移行していきました。
ただ、神奈川日産がU14ブルーバードを、神奈川日産独自モデルとして「SSS-WR」と言うモデルを発売していたのは、ラリーファンなら周知のとおりです。
マーチR
日産のロングセラーモデル、日産 K10型 マーチ。
1988年に、K10後期モデルで、モータスポーツベース車として、マーチRが登場しました。
マーチRには、当時としては市販車としては珍しい、ツインチャージャー(ターボとスーパーチャージャーの両方を搭載)を採用。
モータースポーツに参戦するターボ車の場合、排気量に掛け算する「ターボ係数」(多くの場合は1.7ですが、実際は時代や規則によりけり)というのがあります。
マーチRは、1600cc以下のクラスに出場できるように、930cc(930×1.7=1,581cc)に抑えたMA09ERTエンジンを搭載を搭載していました。
マーチRを一般ユーザー向けに、内外装を整えて、AT設定も加えたものが、マーチ・スーパーターボです。
パルサーGTI-R
出典:nissan-heritage-collection.com/DETAIL/index.php?id=127
1990年に、日産がWRCで勝利を狙って、世に出したのがN14系パルサーのラリーベース車「パルサーGTI-R」
日産は、小型軽量のパルサーに、ブルーバードSSS-Rの後期型のパワートレインを詰め込んで、小型軽量ハイパワーマシンで、WRC参戦に挑みました。
パルサーGTI-Rが目指したグループAは、改造範囲が極めて狭い時代。
ワイドフェンダーを付けられないので、トレッドも拡大できない上に、狭いエンジンルームに4WDターボユニット詰め込んだ結果、エンジンの加熱対策などの問題を抱えていて、日産の目論見通りの活躍はできなかったです。
でも、ある程度改造の自由があった、国内ラリーやダートトライアルでは、結構活躍をしていた、パルサーGTI-Rです。
VZ-R
1997年、当時ホンダVTECや三菱MIVECという可変バルブタイミングのエンジンをライバルが搭載していたのを受け、5代目N15系パルサーのマイナーチェンジで「VZ-R]が登場しました。
出典:mos.dunlop.co.jp/archives/rally/race-data/img_report/report_rally_20090529_1573.jpg
日産の可変バルブタイミング機構を搭載したエンジンは、「SR16VE」。
SR16VEエンジンは175馬力を絞り出し、同じ年にデビューしたホンダ EK9シビックタイプR用B16B(185馬力)や、三菱 CJ4Aミラージュ・サイボーグ用4G92と互角に戦えるエンジンでした。
その後日産は、スーパーN1耐久(現在のスーパー耐久)レース用のベース車向けSR16VEを開発しました。
このエンジンは、1.6リッターNA(自然吸気)エンジン最強の200馬力というNA1.6リッターとしては、強烈なスペックでした。
このエンジンは、3ドアハッチバックのパルサーセリエ VZ-R・N1 / ルキノ・ハッチ VZ-R N1などに搭載されました。
GT-R
2007年に、長い眠りから目覚めたR35GT-R。
この、R35GT-Rはまさに「日産最強マシン」です。
GT-Rは、スカイラインから独立したブランドとして生まれ変わり、ポルシェ911ターボを視野に入れた、世界戦略車として生まれ変わりました。
GT-Rに搭載された「VR38DETT」エンジンは、3.8L V6 ツインターボで、初期のモデルは最高出力480馬力。
2008年12月の小改良以降のモデルは485馬力。
2010年11月発売の2011年モデルは530馬力。
2012年モデルから2015年モデルまでは550馬力。
2017年モデルは570馬力。
2014年2月末販売のNISMOモデルは600馬力を発生
まさに、日産最強の「R]のエンブレムにふさわしい、スーパースポーツカー「GT-R」となった。
GT-Rは、スペック的には国内外のスーパーカーにヒケを取らないため「スーパーカー」に分類されることもありますが、最上級のGT-R NISMOでも1,870万200円とスーパーカーとしては格安なんですが。
この金額をぽんと出せるユーザーは、そうそう居ません。
こんなGT-R、日本で走らせるにはサーキットぐらいではないですかね。
高速で走ったら、絶対捕まるか、逃げ切れるか、そんなGT-Rです。
日産の新しい最強エンブレムは「NISMO」
最近の日産は、「R」エンブレムを、「NISMO」エンブレムに切り替えて、ブランドイメージ拡散を手がけています。
「NISMO」エンブレムは、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社、通称・愛称はニスモ (NISMO) のものです。
日産は、一般市販車に過去「R]エンブレム付きのスーパーモデルを作ったように、「NISMO」エンブレムを付けた車を販売しています。
NISMOのエンブレムが付いた車は、足回りやECUをチューンして、一般市販車よりもスポーティーな走行ができるように味付けされています。
日産最強の「R」エンブレムが付くのは、今後は「GT-R」だけになりそうですね。
まとめ
私は、20代の頃ラリーをしていたときに、日産B110サニーに乗っていました。
この車は、当時ラリーチューンで有名な「高崎サニー」チューンで、4連SUキャブと、ハイカムを搭載していました。
軽量なサニーにチューンしたエンジンで、欠航楽しい思いをしました。
今回は、日産最強の「R」エンブレムを付けた、歴代名車を紹介しました。
また、次回をお楽しみに。
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