レーシングカートというのを知っていますか?
遊園地にあるゴーカートとは、まったく別世界の乗り物です。
レーシングカートは、レーシングドライバーにとっては登竜門と言え、F1などの上級クラスのドライバーのほとんどはカートの経験があるといっても過言ではありません。
そんなレーシングカートに、ホンダがモトクロッサーのエンジンを載せたというお話です。
レーシングカートの世界
間違えないでくださいよ
遊園地にあるこちらの写真にあるようなカートは「ゴーカート」と言います。
この記事で扱うのは、あくまでもレースで使う「レーシングカート」です。
まったく、異次元の乗り物なので、普通の人が乗ったらコーナーすら曲がれない乗り物です。
なぜなら、自動車のようにデファレンシャルギヤがなく、左右のタイヤは同じ回転数で回ります。
これが、どういうことかというと。
自動車の場合は、コーナーを曲がる時に、内側のタイヤのほうが外側のタイヤよりも回転が少なくなっています。
これを調整しているのが、自動車のデファレンシャルギヤなんです。
実は、このデファレンシャルギヤは、普通に走る分にはとっても良い仕組みで、これがなきゃ自動車は走れないと言っても良いくらいの仕組みなんですが、大きな欠点も持っています。
片側が空転すると、反対側に駆動力が伝わらなくなるんです。
悪路を走行するラリーやダートトライアルの車は、この欠点を防ぐためにLSD(リミテッドスリップギヤ)というものをデファレンシャルギヤの代わりに使います。
このLSDは、片側が空転した場合には一時的にデフをロックして、左右のタイヤに同じ回転を与えるようにします。
レーシングカートの場合、常時左右の回転数が同じになるので、特別なテクニックがないと、コーナーをまわることが出来ないのです。
そこで使われるテクニックとは、
一つは、おなじみのドリフトです。
ただし、ドリフトは派手さはありますが、コーナーをはやく回るよりも減速としての効果が高いので、サーキットではあまり有効な手立てではないのです。
F1がドリフトしているシーンは、あまり見かけないですよね。
レーシングカートのコーナリングでは、インリフトという内側のタイヤを浮かせて曲がる走法が一般的になります。
もちろん、ドリフトも有効な手段ではあるので、使い分けとなりますね。
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レーシングカートのエンジンの種類
レーシングカートの世界では、2ストロークエンジンが主流です。
2ストロークエンジンって、普通の人は知らないと思いますので、説明しておきますね。
今の自動車のエンジンは、特殊なもの(ロータリーエンジンとか、EV)を除いて、4ストロークエンジンが使われています。
4ストロークというのは、一つのプロセスを「吸入」「圧縮」「燃焼」「排気」の4つの工程に分けて行うエンジンです。
一方の2ストロークは、「吸入と圧縮」「爆発と排気」と2工程で一つのプロセスが終わります。
かつては、軽自動車に2ストロークエンジンが使われていた時代もあります。
つまり、4回に1回燃焼するのと、2回に1回燃焼するのでは、瞬間的に力が出るのは2ストロークだというのがわかりますよね。
なので、レーシングカートの世界では、2ストロークエンジンが主流になっています。
実は、2ストロークエンジンは、4ストロークに比べて、バルブ機構がないために部品点数も少なく、小型軽量でもあるので、軽さが命のレーシングカートにはうってつけなエンジンでもあります。
4ストロークエンジンは、部品点数が多く重いけど、瞬発力では2ストロークに負けるが、トルク面では有利なので、乗りやすさがあります。
そこで、スポーツカートと言うジャンルで使用されることが多いです。
ホンダが乗せたモトクロッサーのエンジンとは
そんな、レーシングカートの世界に、ホンダは何故に不利な4ストロークエンジンを投入したのか?
今回ホンダがレーシングカートに搭載する、4ストロークエンジンは、
ホンダのモトクロッサー「CRF250R」に搭載されているエンジンです。
私も、若い頃はモトクロスをやっていましたが、エンジンは2ストローク全盛でした。
今や、モトクロスも4ストロークの時代。
ホンダは、モトクロスレースでの実績のあるエンジンを、レーシングカートに投入してきたわけです。
ホンダによると、現行レーシングカートの2ストロークエンジンと比較して、さまざまなコンディションに対応するためのエンジンチューニングを容易にし、耐久性を引き上げ、維持費を抑えることを可能にしているという。
ホンダのコンセプトは、「次世代のレーシングカート」なので、レーシングカートの世界が、4ストロークの波にすぐ飲まれるということではなさそうです。
まとめ
今回は、F1レースの登竜門とも言うべき、レーシングカートの世界にも、4ストローク化の波が押し寄せるのかという記事を書いてみました。
次回もお楽しみに。
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